一般社団法人ビブリオポルトス

 「読書のまち・かわさき」事業を展開している川崎市は、毎年秋に「かわさき読書の日のつどい」を開催しています。16回目を迎えた2018年は、11月4日(日曜)に川崎市中原市民館で開かれ、読書活動を精力的に行っている団体・個人・学校の5団体が表彰されました。そのひとつ「一般社団法人 ビブリオポルトス」は、「絵本のまち、かわさき運動」と「選書図書運動」が高く評価され、代表理事の小松雄也さん(28歳)が表彰状を受け取りました。

 大の読書好きの小松さんは、大学2年生の時、東京都と東京都教育委員会が主催した書評の全国大会「ビブリオバトル首都決戦2013」において、三島由紀夫の著作『葉隠入門』を紹介し、783人の参加者の中で最終5人のファイナリストとなりました。この年(2013年)には川崎市立中原図書館の後援を受け、ビブリオバトル入門&体験講座という形式で川崎市民を対象にしたイベントを開催。
 翌14年9月大学3年生の小松さんは、読書を通じた世代間の交流・地域活性化やプレゼンテーション教育へと本格的に取り組むため、一般社団法人ビブリオポルトスを設立。法人名はラテン語で「本の港」の意味。小松代表理事は、発足の経緯を、「学生がやっているボランティアの読書活動と思われがちなので、法人格(一般社団法人)として立ち上げ、行政や企業と1対1で仕事をしていくことにしました」と話します。
 「読書を通じて夢の実現! 人生を切り拓く1冊をこども達のもとへ!」をキャッチフレーズに、小松代表理事が「絵本のまち、かわさき」運動を始めたのは、2018年7月。中原区を中心に川崎市全体で、終了の同年12月までに約3000冊の絵本が寄付されました。小松代表理事自身が、自転車で中原区内を駆け巡り受け取った絵本や送られてきた絵本を保育所などに寄贈。2018年4月には9、2019年4月には10の新しい認可保育所が設立されるなど、新生児が増えている中原区の保育所からは感謝されています。

 18年4月に開園された「レイモンド元住吉保育園」(木月住吉町)に絵本が贈呈されたのは10月。同保育園は入り口のところに新たに本棚を設置し、贈られた約30冊の絵本を並べました。主任の新井真由美さんは「大変うれしいです。園児だけでなく、絵本を通して地域の子どもたちや親御さんたちと交流していきたいです」と、相好を崩す。また飯田明園長は、「園児たちは絵本に触れると感情が豊かになります」と言って、小松代表理事との絵本談議に花を咲かせます。

 同年11月23日に開かれた「第13回 なかはら子ども未来フェスタ」では、会場となった中原区役所の1階に「回収ブース」を設置し、多くの親子連れが不要になった絵本を持参していました。この日一日だけで、約300冊の好意の絵本が集まりました。
 小松代表理事は下小田中小学校・西中原中学校出身の中原区民、「絵本のまち、かわさき」運動の成果について述べます。
 「中学時代の同級生とその母親達が、地元で育ってきた小松君が頑張っているねと言って応援してくれました。PTAの方々も積極的に広報して下さり、中原区全体でバックアップして下さったので、予想以上に絵本が集まり約50箇所の保育園などに寄贈することができました。歴史ある保育所は、絵本が足りている場合もありますので、絵本が足りていないところに集中的に贈りました。絵本が溢れている中原区の保育所になれば、川崎市の価値も上がるのではないかと思っています」
 また、小松代表理事は、講演活動を通して読書の楽しみや読書力を伝えていますが、11月6日には、母校でもある下小田中小学校で、4年生の全児童を対象に「読書の授業」を展開し、それぞれ「将来の夢」をテーマにした本を後輩160人一人一人に選書を行いました。
 精力的に読書普及活動に取り組んできた小松代表理事は、これからの課題を次のように指摘します。
 「スマホや娯楽などの情報環境の変化で学生の読書離れが進んでいます。特に川崎市の小中学生の不読率(1カ月に1冊も本を読まない人の割合)は全国平均の2倍(29年度 小学生12%・中学生30%)になっています。現場の先生たちと提携しながら、こういう面白いお勧め本があるよと支援していきたいです。これからも『読書の大切さ』を世代を問わず広く川崎市民に伝え続け、この理念に共感してくれる地元書店や出版社と連携し、読書普及活動に取り組んで行きます」
 一般社団法人ビブリオポルトスはその理念を実行するために、すでに保育園・学校・寺子屋事業・老人ホームでの読書普及活動を展開し、個人の方からの読書相談も受けています。読書はあなたを未知の世界へ誘ってくれます。

 

<基本情報>

一般社団法人ビブリオポルトス
(2014年9月18日設立 代表理事 小松雄也)
◆設立目的/すべての人が、「読書のまち」に親しめる社会を実現する
◆活動内容/@ゲーム形式の書評合戦「ビブリオバトル」の実施(図書館や書店だけに限定することなく「人を通して本を知る、本を通して人を知る」ことができる) A「読む」「聞く」「話す」そして「書く」ためのトレーニング(5分間の発表で「話す」ことを、3分間の質疑応答で「聞く」ことを学ぶことができる) B理想の本棚の作成(団体・個人の要望にそった本のリストを月ごとに更新して選書する)
◆職員数/4名 ◆活動区域/中原区を中心に川崎市全域
◆事務局/小松雄也 211-0041 中原区下小田中2-21-17-206
メール(komatsu16yuya@hotmail.co.jp)
HP(http://komatsu16yuya.wix.com/biblioportus