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読書普及講演会「昔話はおもしろい」開催

――むかしむかしあるところに、おじいさんとおばあさんが住んでいました……
何百年前から人から人へと語り繋がれている昔話。幼い時に聞いた昔話は、私たちの心に宿って一生忘れることはありません。

 

「昔話はおもしろい」

 川崎市立図書館主催による読書普及講演会「昔話はおもしろい」が、10月6日(木曜)、中原市民館多目的ホールで開催されました。講師は、昔話研究の第一人者の小澤俊夫さん(小澤昔ばなし研究所所長・筑波大学名誉教授)。同研究所は、昔話やメルヒェンとよばれる口伝えの文芸を研究する私設研究機関で、1998年、川崎市登戸に設立されました。

 登壇した小澤さん、まず「昔話はどこにありますか」と投げかけた。「昔話は語られている時間のあいだにだけ存在します。終わったら消えるということです。これが基本です」と説明。宮城県に伝わる山姥に追いかけられる馬方の話『馬方とやまんば』を語り聞かせ、「昔話には文法がある」として次のように指摘しました。

 「昔話は、聞いてわかりやすいように、シンプルでクリアな文体で単純明快です。昔話は、耳で聞いてはっきりイメージできるように、重要な人物や物を孤立的に語ります。昔話の場面は常に1対1で構成されます。昔話は同じ場面は同じ言葉で語られます。そういう文法を守ってください、と私は言っています。皆さん、読む時にはこうした文法に気をつけてください」

 『馬方とやまんば』は、〈こんで、えんつこもんつこ、さけた〉で終わりますが、これは「これで、おとぎ話はおわりだよ、という挨拶、結末句です。昔話はうその話、私の責任じゃありませんよという意味です」

 次に、小澤さんは昔話に込められたメッセージを読み解いていきます。『わらべし長者』を通してこう説きました。

 「かなり厳しい文法でできている昔話は何を語っているのか。昔話は、道徳・教訓を伝える話だといわれるが、それはごく一部です。昔話は教訓だけを伝える話ではありません。こどもの成長にとって根本的なことを伝えていると思います。子どもは、自分が獲得して持っているものとちょうど合致するものに出合った時、それを自分のものとして次の段階へ有効に進むことができる。これはとてもいいメッセージだと思うんですね。昔話は、子どもの育ち方、人間と自然の関係、命の問題などいろんなメッセージを発しています。子どもたちにとって、ナマの声でお話を聞くことが大事だということを言いたい。それが伝承というものです」

 200を超える人たちが、小澤さんの話に、笑ったり大きく頷いたりしていました。そのひとり、60代の女性は、「昔話の論理的な話が聞くことができました。子どもたちに読み聞かせをしていますが、昔話の背景が分かりましたので、今までと違う感覚で読み聞かせができるのではないかと思います」と話してくれました。

 「昔話はおもしろい」そのヒミツが垣間見えた夜でした。


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