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企画展「へいわのためのお金 安全保障編」から

〈武力による殺戮や威嚇の世界は、誰もが同意する平和な社会の前提条件の一つでしょう。……しかし、武力による備えだけが安全を保障・促進するのでしょうか。例えば、衣食住に不安を抱えながら日々の生活を送っている人は、安全に暮らしていると言えるでしょうか。もし言えないとすれば、衣食住の欠乏=貧乏という不安全は、武力の備えによって安全になるでしょうか〉(「へいわのためのお金 安全保障編」のチラシ)
 猛暑続きの今夏、こう問いかける企画展が開かれました。キーワードは「お金」。

 6月16日〜7月16日、平成30年川崎市平和館ミニ企画展シリーズ へいわのための平和学「へいわのためのお金 安全保障編」が、川崎市平和館で開催されました(主催=川崎市平和館)。

 会場は同館1階の屋内広場。足を踏み入れると、まず「社会を見る視座としての平和学」のパネルが目につきます。「ほとんどの社会問題は平和問題」という平和館(平和学)ならではの観点に立って安全保障を概説。「平和学と伝統的安全保障」「グラフで見る安全保障とお金」など、各国の軍事費・防衛費、国家予算に占めるその割合、軍事産業売上げ上位100社の所在国などが掲示されています。ちなみに日本は、国民一人当たり年間約4万円の軍事費・防衛費を負担しています。

 また、今回の企画展示には、高校生、大学生が取り組んだワークショップの報告がパネル展示されています。テーマは、架空のA国の平和に資する国家予算の使い方。参加したのは、県立川崎高校、県立神奈川総合高校、清泉女子大学、恵泉女学園大学、中央大学のグループ。彼らの率直な意見に耳を傾けてみよう。

・「どんなに国が強い武器を持っても、国民からの信頼がなければ危ないだけだ。今のように、失業や貧困が深刻な状況では、国を信じる気にはならない。まずは、信頼を得るために失業者を減らしたり、人口を豊かにすることを考えて行動してから『安全保障』を考えるべきである」(川崎高校)

・「安全保障という言葉を真剣に考えていなかったけど、私たちの生活という視点から考えると、軍事力の強化より、国民の暮らしをどうやって良くしてゆくかを重視すべきだと感じました」(恵泉女学園大学)

 パネルを読み進めていくと、このように武力による安全保障よりも、貧困、失業、暮らしといった人間の安全保障ともいうべき意見が散見できます。

へいわのためのお金 安全保障編

 7月15日(日曜)には、関連イベント「へいわのためのお金」が開かれました。イベントには、清泉女子大学の松井ケティゼミと恵泉女学園大学の高橋清貴ゼミの学生たちが参加し、来場者(25人)とともに、私にとっての安全保障を語り合いました。

 松井さんは、日本で初めて創設された、新しい学問領域である地球市民学科(文学部)の教授。学生たちのワークショップの報告を受けて、「ワークショップをやったことによって、こういう社会に住みたいという学生たちの考えが明らかになってきました。さらにあなたはどうやって関わるかというアクテビティを発展的に考えることが大切」と指摘。

へいわのためのお金 安全保障編

 恵泉女学園大学人間社会学部(国際社会学科)の高橋清貴教授は、20年以上にわたって国際協力の仕事を通して、途上国の現場で活動してきました。経験に裏打ちされた視点から、「国の安全保障は国を敵国から守ること。それだけではなく、誰が誰をどんな脅威からどんな風に守るのか、を考えていく人間の安全保障が求められています」と提言。

 イベント期間中、西日本豪雨が起こり二百数十人の犠牲者が出てしまいました。パネルや参加者の話をお聞きしながら記者の脳裏に浮かんだのはある作家のこと。阪神淡路大震災の被災者だった小田実さん(07年没)は、台風、洪水、地震などを自然災害「テロ」と呼び、被災者生活再建支援法の制定など災害大国の国づくりを求め実現してきました。

 老若男女が、「お金」を通して平和をつくる安全保障のあり方を真摯に語り合ったイベントでした。

川崎市平和館

◇住所/川崎市中原区木月住吉町33-1

◇電話/044-433-0171

◇開館時間/9時〜17時


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