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「イギリス人が見た、開国に至るまでのニッポン」展から

2018年は、明治元年(1868年)から満150年の年。幕末から明治維新への激動と混沌の時代、イギリスの新聞がその時代のうねりを発信していました。

「イギリス人が見た、開国に至るまでのニッポン」展から

 明治150年「イギリス人が見た、開国に至るまでのニッポン」展が、7月24日〜8月26日、川崎市国際交流センターギャラリーで開かれました(主催=川崎市国際交流センター)。

 展示されたのは、176年前の1842年(天保13年)に、イギリス・ロンドンで創刊された「イラストレイテッド・ロンドン・ニュース」(The Illustrated London News)のイラストや記事(複製)30点。同紙は、ニュースをイラストレーション入れで報じることに主眼を置いた週刊新聞。日本語では、「絵入りロンドン新聞」「絵入りロンドン・ニュース」などと訳され、1971年まで129年の紙齢を刻みました。安価であったことも手伝って発行部数は右肩上がり、創刊号の2万6000部は、1851年のロンドン万国博覧会の頃には約13万部に、クリミア戦争(53年〜56年)時には20万部に達した。企業グループとしてのThe Illustrated London Newsは現存。ちなみに日本最初の日本語の日刊新聞は、1871年(明治3年)12月8日、横浜で創刊された「横浜毎日新聞」(横浜活版舎発行)。

 期間中の8月2日(木曜)には、川崎市市民ミュージアム学芸部門の誉田あゆみ学芸員を講師に迎え、ギャラリートークも開かれました。誉田さんは、展示された同紙を丁寧に解りやすく概説していきます。同紙の見出しを拾っていくと――

 「海軍代将マシュー・C・ペリーの日本遠征」(53年5月7日号)、「英国公使、江戸での日本のタイクン(大君=将軍徳川家茂)に謁見」(60年12月15日号)、「東禅寺事件詳報」(61年10月12日号)、「攘夷決行」(63年10月10日号)、「生麦事件その後」(64年2月20日号)、「行進中の日本兵」(64年10月8日号)、「横浜で見たイギリス・日本両軍の観兵式」(65年1月7日号)「日本のタイクン・ストツ・バシ(一橋慶喜)(67年8月10日号)……

 いずれも精密なスケッチとともに幕末・明治の日本の姿が活写されていて、興味深い史料となっています。描かれているのは、政治・外交・事件だけではありません。日本の文化や風俗、市井の暮らしぶりも見て取れます。

 こうした記事・スケッチを描いたひとりにチャールズ・ワーグマン(イギリス人・同紙特派画家兼通信員)がいます。1861年に来日した彼は、事件・事故を客観的に観察し本国に発信。翌62年には、本国の『パンチ』を模した漫画雑誌『ジャパン・パンチ』を創刊。余談だが、ワーグマンは、近年再評価が進んでいる画家五姓田義松を初め日本人画家たちに、洋画の技法を伝授しました。

 ギャラリートークは定員10人と小さな会でしたが、誉田さんは、熱心に参加者に語りかけます。展示から得られた誉田さんの感想をお伺いするとこう応じてくれました。

 「当時、西洋では銅版画が主流だったのですが、ワーグマンは『日本の木版刷り師』を描き、使用する道具から刷り方の手順まで解説しています。木版画に関する資料が少なかった西洋において、こうした記事は貴重だったと考えられます。政治だけではなく、日本の文化や風習を、西洋・イギリス人の視点から描いており、史料価値の高い新聞です」

 講演後、若き学芸員には、あたたかな拍手が起こりました。

川崎市国際交流センター

◇住所/川崎市中原区木月祗園町2番2号

◇電話/044-435-7000

◇URL(http://www.kian.or.jp/)


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